ブランドの成長が止まったと感じたとき、多くの企業は新しいツールを導入したり、最新トレンドを追いかけたり、テクノロジーに頼ったりしがちです。しかし、本当に最初に立ち返るべき場所は、もっとシンプルで、本質的で、揺るぎないものです。
その答えが G is for Genten――G は「原点(genten)」の G です。
原点とは、ブランドの過去を振り返るための記念碑ではありません。むしろ、未来をつくるための“エンジン”です。市場がどれほど変化しても揺るがない、唯一無二のコアであり、競合がコピーできないストーリーの核であり、ブランドの意思決定を瞬時にクリアにする“軸”の役割を果たします。
日本語の「原点」には、単なるスタート地点以上の意味が宿っています。原点とは、ブランドが誕生した瞬間に芽生えた “存在理由(reason for being)” を示す証明書でもあります。
なぜそのブランドは生まれたのか。どんな違和感や理想が起点にあったのか。最初の顧客はどんな価値に心を動かされたのか。そして創業者が描いた未来像はどのようなものだったのか。
これらの断片こそが、ブランドの「今」と「未来」をつなぐもっとも貴重な情報です。原点を見失ったブランドは、広告費を増やしても戦略を積み上げても、結局は方向性の迷子になります。
一方で、原点を再定義した瞬間、多くの企業は驚くような内部の覚醒を経験します。チーム全体の判断基準が揃い、メッセージが鋭さを取り戻し、価値提案は洗練され、クリエイティブには一貫性が宿ります。結果として、プロジェクトのスピードも顧客の理解度も、ブランドの存在感も一気に変化します。
原点は過去の象徴ではなく、未来への最短ルートを示す “ナビゲーションデータ” なのです。
そして原点ストーリーは、ブランドだけが持つ“唯一無二の差別化”でもあります。AIが文章を書き、デザインを作り、広告を最適化する時代において、機能・スペック・価格だけで勝負することはほぼ不可能です。しかし、ひとつだけ AI にも競合にもコピーできないものがあります。それが、あなたのブランドがなぜ生まれ、何を変えようとし、何に挑もうとしているのかという 原点ストーリー です。
この物語は、すべてのブランドの中で、あなたのブランドだけが持つ唯一無二の武器です。原点を再編集し、今の市場価値へと翻訳することによって、ブランドは鮮烈に差別化され、未来への推進力を取り戻します。
私たちのブランドは、どんな違和感や願いから生まれたのか?
創業当初、何を変えたかったのか?
最初の顧客は、なぜ私たちを選んだのか?
創業者(または初期チーム)が最初に描いていた未来とはどんな姿だったか?
原点ストーリーの中で、今の市場にもっとも響く要素は何か?
当時の“未完成さ”から、今に活かせる強みは何か?
原点ストーリーを語ると、誰が「それは自分のことだ」と共感するか?
今のプロジェクトや施策は、原点と一致しているか?
新しい方向性は原点を拡張しているか、それとも逸れているか?
もし創業者が今日ここにいたら、この意思決定を支持するだろうか?
G is for Goodwill――ブランドが持続的に成長するために欠かせない“無形資産”です。
グッドウィルとは、顧客やパートナー、地域社会がブランドに対して抱く「信頼・好意・期待値」の総称であり、数字には表れにくいものの、ブランド価値の最大のレバレッジポイントです。
キャンペーンやKPIでは測り切れないこの力は、誠実な体験設計、一貫したブランド行動、透明性あるコミュニケーションによって蓄積され、危機の時には防波堤となり、成長の時には強力な追い風となります。
G が指すのは Growth(成長)でもあり、Goodwill(信頼資本)でもあり、ブランドが未来へ進むための“見えない推進力”そのものです。